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告知

ご無沙汰しております。
管理人の別府です。

一ヶ月以上更新を行っていないというのに、日々アクセスをしてくれる皆様には感謝してもしきれません。
更新に手がつけられなかったのには事情がありまして(多くのサイトが更新されなくなる理由の大半がそうでしょうが)
まぁ恒例のというか、もう繰り返しすぎてやれ霊障だ祟りだなんて騒ぐ気にもなれませんが、身体の不調です。
今回は腰椎椎間板ヘルニアとそれからくる坐骨神経痛。
一ヶ月ほどひたすら横になっておりました。
身体は大事ですね。どうか皆様もご自愛下さい。

さて、記事のタイトルの件につきましてですが、近々サイトのリニューアルを行う予定となっております。
約5年FC2ブログを利用致しましたがその間多くのアクセスを(約1800万PV!)して頂いたことに、改めてお礼を申し上げます。

移転時期ですが2017年10月1日からを予定(予定です)しております。
その際は一定の期間を設けた後に、リダイレクト(自動転送)を行いますので、こちらのURLにアクセスすると新ドメインの方に飛ぶような仕組みにする予定です。
移転後、お手数ですがブックマークやリンクを再設置して頂けますと幸いです。

今後とも何卒ご贔屓にと、平に平にお願い申し上げます。

駅のトイレにて

 薮田さんはシステム会社の営業。四十一歳。離婚したが後妻の息子がいる。
 飲み会の解散後、信濃町駅の便所での出来事。

 小便をしている最中、背後、個室の壁に寄りかかり体育座りした男が床をゴッ、ゴッ、ゴッと短いスパンで殴っていた。
「汚ねぇ便所の床だよ? 内心ドン引きだよ。酔っ払ってるわけでもなさそうだったし」
 男は目に狂気を迸らせ、一心に床に叩く。
「そういう時に限ってションベンのキレが悪いんだよなぁ……。どうしても後ろが気になるわけよ」
 薮田さんが最も嫌がったことは男が近づいてくることだった。
 もし肩にでも触れられたらと思うと、怖気が走った。
 そしてその男はそんな突拍子もないことを実行してしまいそうな雰囲気を持っていた。
 理由はないが、今まで東京で見かけた各種各様のキチガイから薮田さんは油断できずにいたという。
 ――だが予想通りというか薮田さんは肩から首にかけて吐息を感じた。
「もう頭ん中は二択よ。振り向きざまに殴りつけるか、垂れ流すチンコ仕舞いこんで逃げるか」
 迷った末、薮田さんは逃げることを選択した。
 ケンカになったらたぶん勝てるが、傷害で逮捕されることは勘弁願いたいと酔った頭で考えたという。

 パンツに性器を仕舞いこむと、何気ない風を装って手洗いに移動した。
 さりげなく鏡を見る。
 誰もいなかった。
 音もしなくなっていた。
 便所には薮田さんだけだった。
 
「不思議だよ。床を叩く男だけじゃなくて、他にも小便している人がいたはずなんだよ。けれど……誰もいなかった。だーれもいない。そんなことってあるか? 俺はそこまで酔っていなかったよ。あれは一体なんだったんだ……」
 特に被害があるわけではなかったが、以来薮田さんは二度と信濃町駅の便所を利用しない。
「変質者に出会うのと、幽霊に出会うの、どっちがトラウマになるんだろうなぁ。できればもう二度と変な目にはあいたくないわ」


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アヒルのきゅうきゅう鳴るオモチャ

 近藤さんが深夜、シャワーを浴びている時だった。
 高い音が耳をつく。
 ――キュウキュウキュウキュウ。
 なんだ? 
 近藤さんは慌ててシャンプーを洗い流し、見回す。
 辺りには何も異変がない。
 家の外から聞こえる音?
 酔っ払いか?
 だが音は離れていかず、確かに近くで鳴っている。
 ――キュウキュウキュウキュウ。
 警報音と同様に、聞いていると不愉快でたまらなかった。
 近藤さんはシャワーを諦めて風呂場の外に出た。
「あ」
 思わず声が出たという。
 暗い玄関先、ほんのりと浮かんだ人影。
 物凄い速さでもやもやは形が整い、子供の姿になった。手の中には見慣れたアヒルの音の鳴るオモチャ。飼い犬が散歩中くわえてきたものを、そのまま持ち帰ったものだった。
 小さな姿の男の子が振り返る。
 最初見えなかった半身がグチャグチャに潰れていた。泥に汚れた細い肉塊は今にもちぎれそうだった。
 男の子が無事な方の腕で、アヒルのオモチャを握り締める。
 ――キュウキュウキュウキュウ。
 近藤さんは即座に理解したという。
 持ち帰ってはいけないもの。
 お供え物を持って帰ってしまったと。
 呆然と眺めていると、男の子の姿は消えたという。 
「翌朝、すぐアヒルのおもちゃを持って散歩ルートを辿ったよ」
 しかし一体どこから飼い犬が拾ってきたかわからなかった。
 そこで近藤さんは近所の百円ショップをまわり、同じようなオモチャを買い求めた。
 そして事故現場になりそうなスポット(交差点・横断歩道・見通しの悪い歩道)全てに、オモチャを置いてまわったという。
「まぁ出費っちゃあ出費だけど、なんだか可哀相でなぁ。たぶん……事故死した子供へのたわむけの品だったんだろう」
 それを取り上げてなぁ、ほんと悪かったよ。そう近藤さんは言う。
 怪音は起きなくなったという。
 だが近藤さんは以来、飼い犬の散歩中などで事故が起こりそうな場所にさしかかると、ラムネをばらまいて歩く癖がついたという。
 

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Paul Smithの定価3万するシャツだけど


 蒸し風呂のような暑い日。
 ベランダに干したシャツが揺れている。
 読書から顔を上げた大輔さんが窓を見つめていると、シャツの袖がふらふらと揺れている。
(ハンガーごと風で吹き飛ばされないといいけど)
 揺れたシャツは窓越しに、ちょうど大輔さんに向き合う形になった。
(あれ……?)
 風が吹いている様子は無かった。
 シャツの袖が狂ったように左右に振れる。
 手を振っているように思えた。
 ――あ、呼んでる。僕を。
 そう実感した大輔さんは、カーテンを閉めて慌てて外に出たという。

「うちのマンションって大通りに面しているんですけど、少し前にその通りで死亡事故が起きたばかりなんです。首がありえないくらい曲がって死んだって聞きました。だから、たぶんその時の人じゃないかなぁって直感して……」
部屋に戻ると、シャツはベランダの床に落ちていた。風だけでそうなると思えないほど首周りが捩れていたという。
 惜しかったがシャツは捨てたそうだ。


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