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可愛い女の子

 友人の石田の紹介で会った、白川さんは可愛らしい女の子だった。
 この時、私は『怖い話』を求めていない。
 それどころか異性に敬遠されがちなこの趣味は口に出していない。
 たわいのない話を聴きながら、どうにも視線が顔や鼻の形、桜色の唇に吸い寄せられる。
「わたし、セックスするとゼッタイに蛍光イエローの猿に追いかけられるんです」
「はい?」
 まるで下心を見透かされたようでドキリと私の胸が鳴った。
「だからセックスすると真っ黄色の、人間と同じサイズの猿が、わたしを追いかけてくるんです。夢で。そのたびに捕まりそうで」
「そうですか」
「一度なんて、横に寝てた男の人の指を、折りそうになったんです。夢で、襟を掴んだ猿の指を、一本ずつ剥がそうとしてたんですけど」
「ええ」
「だから、困っているんです」
「なにが?」
「気持ちいいことできないから」
「はぁ」

 山。
 獣道を白川さんは息を吐きながら走る。
 尖った枝が、障害物のように飛び出た蔦が細い足の邪魔をする。
 蛍光イエローの猿は涎を垂らしながら、手を伸ばす。
 白川さんの襟を掴む。
 生理の時に湧き出る匂いを、煮詰めたような匂いがする。
 叫ぶが声は出ない。
 転び、したたかに石に膝をぶつける。
 泣きそうになりながら(時には泣きながら)少しでも抵抗しようと猿の指を掴む。

 そこで目が覚めるそうだ。
 件の男性の時は、彼が起きなければ間違いなく折れている角度だったという。
 そう語り終えると、彼女は「う……ん」と伸びをする。
「なんか眠くなってきちゃったなぁ……」
「そう?」
「うん。横になりたいな」
「そっかぁ。それはまずいね、疲れは病気の元だからね」
 私は彼女と居酒屋を出て、タクシーに彼女を乗せて別れた。
 
 その後彼女とは友人になったが、いまだ決まった恋人はいないという。
 
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コメント
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その女の子に、何か憑いてるのでは?

2013-07-07 00:21 │ from 白猫URL

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2013-08-22 09:14 │ from URL

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