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インターネット怪談朗読

 水橋さんは中学生の娘さんがいる。
 昨年の夏休みの話だ。
 夕飯を終えた娘さんはリビングに置いてあるパソコンでYoutubeを開いた。
 そこから流れる音楽を聴きながら水橋さんは後片付けを始めたそうだ。
 音楽が終わるとぼそ、ぼそ……と話し声が聞こえ始めた。
 ちらりと覗くと怪談の朗読を聞いていたそうだ。
「いい加減、宿題やんなさいよ」
 洗い物を終えた水橋さんは促した。
「んーもうちょっと。もうちょっとで一区切り」
「だーめ」
 ちぇっ、可愛い舌打ちをして娘さんは宿題を取り出した。
 朗読を聞きながらやるようだった。
「今はこんなのがあるのねぇ……」
 水橋さんは感嘆のため息をついた。
 幼い頃に兄と一緒にテレビの前で震えていたことを懐かしく思い出す。
 聞くともなしにそのまま流す。
 コックリさんの話だった。<てにをは>は違うものの、昔から内容は変わっていない。
「もーわかんないよー」
 駄々っ子のように宿題に口を尖らす娘さんを見ると、まるでいつかの自分のようで微笑ましく思ったそうだ。
 水橋さんはスマートフォンを取り出すと横から写真を撮った。
 夏の思い出。
 瑞々しい西瓜、ラジオから流れる野球中継、波のようにそよぐ扇風機。
 暗がりの中で蚊帳、午前中のプール。テレビから流れる、もしくは子供同士での怪談。
 気づけば水橋さんは目頭が熱くなっていた。
「ほらぁ、先生の話し聞いてないからよ」
 ――この子も数十年後に今のことを懐かしく思うのかしら。
 写真は印刷して残しておこう。いつかの日の為に。
 画像の「保護」をしようと目を落とした。
 写真は歪だった。
 違和感の原因はすぐにわかった。
 娘さんの顔半分が笑っていたという。
 エンピツを片手に真剣に向かう表情は半分、正中線を越えた半分は老人のように皺だらけであり口角が頬の半分まで突きあがっていた。
 般若を思わせる歪さだったという。
 さらに目の向いている方向はおかしかった。
 瞳孔は開ききり、真っ黒な穴にも似た瞳が斜視のようにカメラを見つめていたそうだ。
 水橋さんは即座にパソコンの電源を抜いた。
「聞いてたのに……」
 文句を口にする娘さんの声は老婆のように枯れていたそうだ。

「もうパニックなっちゃって……」
 水橋さんの母親がいわゆる『オカルト』に詳しいことを思い出し、電話をしたそうだ。
「年の功よねぇ。知っていたの、解決方法を。あなたも覚えておいた方がいいわよ。こんな話ばっかり集めるんだから……やり方はね、簡単。娘に海水と同じ濃度の塩水を三杯飲ませたの。そうしたら声も元通り。ずっと娘はキョトンとした顔してたけど……」
 なんでも邪を払う方法なのだという。
 以来、水橋家では怪談どころかYoutubeが禁止だそうだ。
「思ったんだけど……テレビの怪談って、色んな人のチェックが入るわけじゃない? 広告の関係もあるから、本当に変なものって流れないと思うのね。けどネットの朗読ってさぁ……あれ、誰かチェックしてるの? 朗読者が意図しなくても、本当に禍々しいものを呼び込んでいるってこと、無い?」
 私はわからないと首を振った。
 海水と同じ濃度の塩水の作り方は、聞いたのだが忘れてしまった。


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