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営業先の田舎

 生涯で一、二を争う便意だったという。
 最悪なことに、営業先でコンビニやパチンコの類は一切見当たらない。
 それどころかシャッター商店街で、空いている店がない。
 畠山さんはようやく見つけたお好み焼き屋に飛び込んだ。
 ブタ玉、と注文をしてトイレに入った。
 何でも良かった。
 用を終え、トイレットペーパに手を伸ばすと、ロールには紙ではなく黒髪がびっしり巻きついていたという。
 恥を忍んで大声で店員を呼んだが、五十前後とみられるオバサン店主は「それがうちの流儀」と答え、畠山さん の姿をただ眺めたそうだ。
 呆然とする畠山さんに、オバサンは皿を差し出した。
「ブタ玉、できた」
 視線を皿に落とすと、生の茶色く変色した豚肉に生卵を二個かけたものだった。
 視線をオバサンに戻すと、いつかの母親のように優しいまなざしを送ってきたそうだ。
 畠山さんは中腰で財布を取り出し、千円札を叩きつけ逃げ出した。

「田舎にある、狂った店なんて、見分けることできないですよね。きっとあのオバサンは今日も腐った肉を用意して、紛れ込んだ客を待ち構えているんですよ。アリジゴクみたいに」


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