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新宿ゴールデン街

 新宿ゴールデン街には鬼が現れる。
 その噂を聞いた私は一時期、ゴールデン街に通っていた。
 歌舞伎町の隣、花園神社のお膝元。
 連なる店舗は一階だけでなく二階も別に営業している。酒飲みの私にとっては天国に近かった。
 しかし噂の事実を知ってしまえばあっけなかった。
『鬼』というMCネームをもつラッパーがそこで働いていた、そんな話だった。

 つい調子に乗り、テキーラを3杯やっつけた店を出ると、すでに足元は怪しかった。
 靖国通りに出てタクシーをつかまえようと、ふらふら歩くがいつまでたってもたどり着かない。友人はいつの間にか見失っていた。
 路地の真ん中に大きな影が落ちた。私は空を見上げた。
 二階の窓から、岩ほどの大きさもあるくすんだターコイズブルーの顔が私を睨んでいた。
 双眸はラグビーボールの大きさで、開ききった瞳孔は漆黒だった。深い穴のようだった。
 ぺっと垂らされた唾は、私の髪をかすり地面に広がった。腐った肉のような甘い匂いを発していた。

 翌朝、目が覚めると酒飲みの帰巣本能なのか、ちゃんと自宅のベッドに横たわっていた。
 アルコールが見せた幻覚と思えなくもないが、玄関には自分で持ち帰ったのか、茶色いものが詰まったペットボルが置いてあった。
 蓋を開けると昨晩の甘い匂いがした。どうやって詰めたのか腐肉がぱんぱんに詰まっていた。
 とりあえず外に出すと、私は延々と吐き続けた。


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