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小規模なレンタルビデオ店

「霊なんてその時までは見たことなかったんですけど」
 保科君は眉を顰めながら思い返した。
 同じ大学の友人が辞めるということで、それを引き継ぐ形で保科君はレンタルビデオ店で働き始めた。
 個人店なので細かいマニュアルなどなく、適当にレジをこなしていればそれで済むような気軽なバイト先だと教えられていた。
「映画は好きだし、お金もなかったからその誘いに飛びつきました」
 三日も経たぬうちに保科君は嫌気が差してきたという。
「暇すぎるんですよ。お客さんは一時間に一人来ればいい方で。場所が悪すぎて。シャッター商店街の先にあるんですよ」
 駐車場もない。それに客は車があれば大型のレンタルビデオ屋に行く。
「オーナーに直接聞いたことはなかったですけど、たぶん、あれ、税金対策かなにかじゃないかなぁ……。赤字出してもいいから、とにかく国にはお金を払いたくないみたいな?」
 寝るわけにもいかず、防犯ビデオがレジを映している為サボる訳にもいかない。
 繰り返し流れる売れ筋映画ベスト10の予告編を眺めたり、手元のメモ帳にラクガキをして時間を潰すしかなかった。

 その日も客は来ず、やるべきことはなく、ただただ早く帰りたかった。
 夜勤で入っていた保科君は深夜二時すぎ、自動ドアの開く音で目が覚めた。
 知らず知らずのうちにうたた寝をしていたようだった。
 客は入ってこなかった。
 予告編が流れていたはずのテレビは電源が切れていた。
 何度点けても、目を離すと消えた。
 保科君は日誌に「テレビビデオの故障」と書いた。
「普段は眠くなんてならないのに、その日はだるくてだるく……」
 船を漕ぎながら時計の針が進むのをじんまりと待っていた。
 テレビ台の揺れに溶けそうな意識が反応した。
 慌てて携帯でニュースを確認したが地震があったわけではなかった。
 徐々に店内の空気が腐っていく気がしたという。
「なんとなく。例えばですけど、鼻が詰まってても、部屋のゴミ袋で生ものが腐っていたらなんとなくわかるじゃないですか?」
 一応落ちたものがないかと、保科君はぐるっと店内を見回した。
 ビデオ棚と棚の間に男がいた。
 ゴルフキャップにブルゾンをはおった中年男性は膝立ちで窓の外を見つめながら、嗤っていた。
 男性の目だけがこちらを見ていた。
「人間ってリアルに驚くと声って出ないんですよ」
 男性は保科君が凝視するなか、すうっと消えていったそうだ。
 保科君は朝まで、交代の人間がくるまでそのまま立ち竦んだという。
「ありがちな結果ですけど、ビデオ屋が建っていた土地、以前は墓地だったそうです」
 そのレンタルビデオ店はいまだ存在しているそうだ。


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コメント
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コインランドリーなんかも税金払いたくないからやってるのかしら?

2013-09-29 17:12 │ from 名無しURL

じんまり?
まんじりともせず。
の間違いでは?

2015-02-14 09:24 │ from △△URL

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