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病院のトイレで

「アイツ駄目かな?」
「駄目っぽいだろ」
 梶原さんとAさんは友人の見舞いにきていた。
 
 梶原さんがトイレに立つとき、電灯がふっと消える。
 舌を打ちながら用を足す。
「便所おかしくね?」
 なにが、とAさんは不思議な顔をする。
「やっぱなんでもねぇ」
 入院している友人は三日間目を覚まさない。
 腰から下が煮込みすぎたトマトのように潰れていた。
 Aさんがトイレから戻ったタイミングでさりげなく聞いた。
「便所暗くね?」
 Aさんは首を振った。
 親御さんがやってきたタイミングで梶原さん達は腰をあげた。
 最後にトイレに寄ったが、やはり暗い。

 その後三回見舞いに行ったそうだが、相変わらず梶原さんの時に厠は明るくならない。絶対に明るくならないという。
「入院してた奴は、死んじゃいました。バイク事故だったんスけど、なにか伝えたかったんスかねぇ」
 タトゥーを襟元から覗かせながら、梶原さんは目を伏せた。


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