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コスプレイヤーの撮影

 金田くんはカメラ撮影を趣味とするがここ最近、風景撮影に飽きてきたという。
「人が撮りたい」
 友人はみな撮影をされたがらなかったが、折よく知り合いの知り合いで、コスプレを趣味とする女性が見つかったそうだ。いわゆるコスプレイヤーだ。魔法少女まどか☆マギカというアニメの『マミさん』というキャラクターにハマっているとのことだった。
 交通費と食事くらいは奢るので撮影させて欲しいと頼み込み、時間をつくってもらった。

 撮影場所は平日の神社だった。
 平日の昼間だったら人の出入りもない。そのうえロケーションは雰囲気があって最高だ。
 道がわからないというコスプレイヤーの女の子を迎えにいくと、金田くんは驚愕した。
 似ていなかった。
 インタネットで確認した『マミさん』とは似ても似つかなかった。
 金髪の美少女だったはずが髪を金に染めたジャックハンマーが現れた。
「こんにちはぁ、レイヤーのアリスでぇす。あ、ツイッターのアカウント後で教えるねぇ」
 子供のようなかん高い声で挨拶をするアリスに、金田くんは怯えながら礼を述べた。
 なにはともあれ、とにかく撮影だった。楽しみにしていた人物撮影だ。楽しみにしていたのだ。

 本殿をバックにして写真を撮る。
 大樹に寄り添うアリスの写真を撮る。
 手水舎で水遊びをするアリスの写真を撮る。
 被写体のせいなのか、彼の腕のせいなのか、思うような写真はまったく撮れない。
 次第にテンションも下がっていったという。
「あ、こういうのどお~?」
 金田くんの空気を察知したのか、盛り上げようとアリスは銅灯籠をなにかに見立てて、唇を限りなく近づけるポーズをとった。
(灯篭を壊そうとしている風にしか見えない)
 内心『俺は何をやっているのだ』と忸怩たる思いを抱えるが顔には出さずにパチリともう一枚写真を撮った。
 あとで消去すればいいと金田くんは考えた。
「だいたいこんなものかな? アリスさん、今日はありがとう」 
 予定していた時間より一時間も早かった。
 まだ撮影しててもいいよぉ、という言葉を聞こえない振りをして金田くんは撤収作業を始めた。
「ヒ」
 ピアノの高音が耳元で鳴ったような気がした。
 振り向くとアリスが固まっている。
 彼女の視線を追うと、鳥居の下に白無垢姿の女性がいた。
 挙式は行われていない。さらに……。
 土台にのった狛犬と同じ高さに顔があった。あの位置に顔があるとすれば足の長さが2メートルはないとおかしい。
 そして遠くから見てもはっきりと判るほど、憤怒の表情を浮かべている。

 撤収作業もそこそこに、金田くんは逃げ出したそうだ。
「遊び半分はよくないってことですよね……」
 様々なことにすっかり懲りた金田くんは、もうしばらくカメラはいいやといまだ愚痴をこぼしている。なおアリスのツイッターは見るだけ見て、フォローはしなかったそうだ。


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