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飲み屋で聞いたスマートフォンのカメラの話

「勝手に起動する時ない?」
「あぁ、はい、ありますね」
「そういう時、絶対に撮っちゃ駄目よ。変なの写るから」
「はぁ」
「起動する時、だいたいはそこが自殺のあったポイントなのよ」
 駅のホームでスマフォをいじっている時。
 交差点で信号待ちしながらスマフォを取り出した時。
 待ち合わせ場所で暇つぶしにスマフォをいじる時。
「馬鹿げてるって顔してるわね。別にいいの信じなくて。ただ私は思うの。霊もこちらにあわせてくるって。インスタントカメラが消えた今、アイツらはこっちの道具にあわせてアピってくるの。そんな馬鹿な? ねぇ別府君、アイツらは写真が発明されればそれにあわせて出現し、フィルムが発明されれば動画に写りこむようになったのよ?」
 萩原さんは指を二本立てた。
「私は二度写ったわ。一度は頭が壊れてるサラリーマン。一度はバンザイしたお婆さんが、見開いた眼でカメラ目線」
 二度とも両足はぐずぐずに腐っていたという。


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