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安マッサージ屋

「肩こりが尋常じゃなかったから、珍しく行ったのよマッサージ屋さんに」
 荒木さんは一人でマッサージ屋に行ったことがなかった。
 どうせサービスなんてさほど違いはないだろうとインターネットで近場のマッサージ屋を探した。六十分三千円と記載されてあった。
「最近よく見るじゃない。チェーン店だろうなって予想して訪ねたら」
 地図に載っていた場所にあったマッサージ屋は老ビルの5Fにあった。
 看板は出ていたが見たこともないものだ。
 もし汚そうだったら、入り口で引き返そう。荒木さんはそう決めてエレベーターで昇る。
 エレベーターが開くと即座に店内だった。
 入り口のドアはなく、四十代と思われる女性従業員が待ち構えていた。
「いらっしゃいませー。お一人様ですか?」
「あぁ、はい」
「コースが三種類ありまして、お時間が六十分と九十分となっております。いかがなさいますか?」
 女性のトークに流されるように、荒木さんは一番安いコースで六十分三千円を選んだ。 
(ま、さほど汚くないし、いいかぁ)
 用意された施術用のシャツとズボンはかび臭かった。着替えを終えると受付をしていた女性がブースに入ってくる。
 カーテンを閉め、うつぶせになるよう促された。
「どこが酷いですか?」
「肩がもう酷くて酷くて。まるで何かが乗っかってるみたいで」
 女性従業員の顔がさっと強張ったのを、荒木さんは見逃さなかった。
 施術台の枕元にはうつぶせ用の枕があった。
 息苦しくならないように、顔の中心部がぽっかりと空いている。
(この人、大丈夫かな)
 不安になりながら枕に顔を挟む。
 すぐ下に男の顔があった。
 白塗りをしたかのような顔に割れたメガネが乗っかっている。
 濡れた髪の毛が岸壁の海草のようにへばりついていた。
「ひっ」
 施術台の下に人が入れるような隙間がないことに荒木さんは気づいていた。
 声も出ず従業員を見やると悲しそうな顔を浮かべていたという。
「このままじゃ潰れるわねぇ」
 従業員のでかいため息と「やっぱり駄目ねぇ」を聞きながら荒木さんは飛び出すように逃げ出したそうだ。

「以前に何があったかわかんないけど、営業停止にして欲しいわ本当に……」
 荒木さんが確認したところ、まだその店舗は営業しているという。


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