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アパート裏手のゴミ捨て場

 桧垣さんのアパートはゴミ捨て場の真裏にあった。
 一階に住む彼女は常に悪臭とカラスの鳴き声に悩まされている。
 夏場となると生ゴミの匂いが部屋まで漂ってくるので窓は開けられない。
 近所には学生が多いせいかゴミの分別がろくにされていなかった。
「モテなさそうな男ばっかりいて、ほんとうざい」
 おまけに明け方となると度々外で話し声が聞こえた。
「もうあったまきちゃってて。(ゴミ分別しないやつは)絶対にそいつだって思ったの」
 人の迷惑も考えられないからモテないんだ、と桧垣さんはその度に毒づいていたそうだ。 
 明け方、外からの話し声で目が覚めた。とても面白いがあったときのようなクスクス声だった。
 桧垣さんの堪忍袋もいい加減限界だった。
 文句を言ってやらなきゃ気がすまない。
 いつでも警察に電話できるよう携帯を片手に、もう一方の手に武器代わりとしてビール瓶をもった。
 アパートから出た。
 ゴミ捨て場には誰もいなかった。
 だが低い男の声はまだ聞こえている。クスクスと笑っている。
 どこ?
 耳をすまし目をこらす。
 ぱんぱんに膨れたゴミ袋にはティッシュや残飯、汁がべったりとついた新聞紙が詰まっている。
 そのゴミ袋が揺れていた。
 隙間から一重の目が見える。
 瞳は桧垣さんを見据えると、破顔するように細くなった。
 人が入れる大きさのゴミ袋ではなかった。
 桧垣さんは回れ右をして部屋に戻り、布団をかぶってその日は外に出れなかったという。
「早いとこ引越ししたいけど、お金がないの。なんかいい仕事あったら紹介してくんない?」
 ゴミ捨て場からの異音は、まだなくなっていない。
 桧垣さんはもっぱら近所のコンビニにゴミを捨てにいくようになったという。


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