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 三輪さんはその夏、どうしようもなく好きな人がいた。
 海で知り合った十歳年上のバツイチの男性だった。前妻は病気で亡くなったという話だった。
 友人たちは苦い顔をしていたが気持ちは止めようがなかった。

 デートとも呼べない二人だけの食事を終え、帰宅した三輪さんはメールを打つ。
 抑えきれない思いを綴る。
『貴方と離れると、私は暗くて深い闇の中』
『何処とも知れぬ場所で、私は待っている』
『燃え尽きる前に貴方に会わなくてはいけない』
 それを聞かされた私は反射的に「なるほど、なるほど」と頷いた。
 ただ三輪さんは深夜のテンションで書いたメールが危険だということを知っていた。相手に引かれるような文面になるケースがある。そのまま送らなくて正解だったと私も思う。
 一晩おいてから読み返そう。
 重すぎたり気持ち悪いような箇所は添削し、赤面しそうな表現はソフトなものに変え、そしてあの人に送ろう。
 下書きしたメールを保存してその日は寝た。

 目が覚めると、未送信フォルダに残っているメールの文面は、
『きききききききききききききききききききききききききききききききききききききききききき』
 と変化していたという。
 スマフォの待ち受け画面が撮ったこともない写真に変わっていた。
 カメラレンズに指をあてたように、写真の隅にだけ光が差し込む画像だった。

 そんなことってあるんですか? 聞かれたがもちろん答えられない。
 私もその写真を見せてもらったが、レンズに極端に顔を近づけた画像のように見えた。


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