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宝くじ

 聡子さんは出版社に勤めておられるが、ご自身が言うには「ごく普通のOL」だという。
「普通の幸せが欲しい。どうしてこんな仕事選んだのかしら。適当な会社の事務に入って、婚活に精をだすべきだったのに」
 私が「そのうち縁がありますよ」と相槌をうつも、彼女は納得しない。
「まずはお金。老後に苦労しないようなお金」
 ロトセブン、ロトシックス、ジャンボ宝くじ、スクラッチくじ。彼女は三十歳を過ぎてから目に付いた宝くじを購入する癖がついてしまった。
「一つ前のサマージャンボのときだったの」
 彼女は当たると評判の西銀座の宝くじ売り場で一時間並び、九千円分購入した。計三十枚。どれかが当たる予感はひしひし感じていた。
 当選番号の発表日、彼女は会社を早退し、ワインを片手にいそいそと帰宅した。
「もう絶対当たる! っていう確信があったんです。その時。最低でもウン千万。会社を辞めたらモルディブで二週間過ごそうって決めていたんです」
 パソコンで当選番号を発表するページを開きながら、聡子さんは宝くじを取りにいった。保管場所は風水で『お金の気が集まる場所』と教わった北の方角、寝室の引き出しの中だ。
「もうワクワクが止まらなくて」
 聡子さんの脳裏には苛立たしい上司、くだらない雑務、好きになれない同僚の顔が思い浮かぶ。
 これで仕事に行かなくて済む――纏めてしまっておいた布を開いた。これも風水にあやかったピンク色の布だ。
 一枚目外れ、二枚目外れ、三枚目外れ……。
 十二枚目だった。
 当たりは今かと焦れながらめくると、真っ黒の紙が現れる。当選番号が記されていない、どう見てもクジではない紙だった。
(え?)
 よく見ると紙には黒い糸が巻きつけてあった。黒い紙と見間違うほどにびっしりと。
(え?)
 一本抜き出す。
 蛍光灯にかざすと、それは髪の毛に見えた。一本、一本は女性の長さのそれである。聡子さんが呆然としたまま髪の毛をほどき抜き取ると、その下にはスーパーのチラシを宝くじサイズに切ったものがでてきた。裏面にはこう書いてあったという。
『しあわせ に なれる わけ ないじゃん』
 常人には書けないような汚い文字だった。
 聡子さんはくじを投げ出し家を飛び出し、朝まで帰れなかったという。

「どこで紛れ込んだのか想像もつかないの。だって私、宝くじ買ったら、すぐ家に持って帰るから……」
 結局その宝くじの当たりは末等だけだったという。 
 以来聡子さんは宝くじを友人と(あるいは家族で)共同で購入し、保管を完全に任せているという。


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No title

書き方に主観と客観が入り交じっていておかしい
聞いた話や語りではありえなく、完全な創作でのみ通用する手法

2014-08-20 19:48 │ from 名無しさんURL

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