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NAOKI☆

 ある年の十二月、武藤さんがアパートのポストを開けると見たことのない差出人の手紙が入っていた。
 可愛らしい封筒に差出人『NAOKI☆』とあるが、名前に覚えがない。しかし宛名にはアパートの住所と武藤さんのフルネームが手書きで記載されてあったという。
 封を開けるとすぐに合点がいった。
 半年ほど前に友人とふらりと寄ったギャラリーで、個展を開いていた男性の名前だった。
 展示物はなかなか綺麗なファンタジー系のイラストで、楽しめたという。
 出入り口に感想ノートがあったのでそう書いた。
 よく個展を見に行くという友人が住所込みで感想を書いていたので武藤さんもそうしたという。
 主催者の男とは一分ほど喋った。
「楽しめました。プロのイラストレーターなんですか?」
「いえ、まだ」
 男はまだ若そうだったので武藤さんはなんとなく励ましたという。
「頑張って下さい、絶対なれますよ」
 喋った内容はそれだけだった。
 封筒には次の展示のお知らせのポストカードと、鍵が入っていた。
 突然、注射される前のあの胸を締め付けるような恐怖感に襲われた。
 鍵を自分の部屋に差し込むと、すんなり奥まで入っていった。
 まわすとガチャリ、と反応した。

 武藤さんは貴重品を取り出すとアパートを飛び出した。
 以来個展には足を踏み入れないようにしている。

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