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高島平団地

『――高島平【たかしまだいら】
1970年代、都内にはまだまだ高層建造物が珍しかったことと、その公共性から侵入が至って容易であることから、投身自殺に訪れる人が多く、特に1977年4月に父子3人が投身自殺をしてからマスメディアから「自殺の名所」と呼ばれた。』


 ――wikipediaより引用

 その晩三木さんは高島平団地にいた。友人と二人、深夜の肝試しだった。
 投身自殺があった現場を見に行こうと、とある棟のエレベーターに乗りこむ。
 エレベーターの扉が閉まる。
 と、同時に突如息苦しさを感じた。
「あれ? 息が出来ない…」
 声にならない声をあげ視線を横に向けるが、友人に異変は見られない。
 自分だけだった。
 必死に口をあけるが、まるで首を絞められているかのように酸素が吸い込まれない。
 自分の周囲だけ空気が無くなったようだった。 
 苦しい。
 三木さんは喉を掻き毟る。
 しゃがみこむ三木さんを、友人が今まで見たことの無い深刻な表情で揺さぶった。
「おい!? 大丈夫か?」
 顔を上げると、階数を表示するインジケーターはまだなかほどだった。
 心臓が酸素を求め、激しい動悸を繰り返した。
 友人の顔がぼやける。
 酸素が足りなくなったせいか、焦点が合わない。
 パニックに陥った三木さんは友人に縋りついた。死への恐怖が全身を駆け巡った。
 だめだ、もうだめだ。おしまいだおしまいだもうむりだ。
 ――チーン。エレベーターが目的階に着く。扉が開く。同時に三木さんの肺に酸素が流れ込んできた。
 一瞬前までの事態が嘘かのようだった。
 三木さんは床に倒れ込み、ぜぇぜぇと荒い息をついたという。頭の中でパチパチとなにかが弾けるような感覚があった。
「おい、大丈夫かよ三木!」
 心配する友人に三木さんは手をあげた。
 ビックリした、そう言いかけた。だがそれは、衝撃音に阻まれた。静まり返った団地に、まるで何かが落ちたかのような衝撃音が響いた。
 鉄の扉を思い切り閉めたような音だったという。
 時計は既に深夜の2時近い。
 そんな時間にこんな騒音を立てる人がいるとは考えづらかった。
 友人と二人顔を見合わせ、煙草が見つかった高校生のように固まったそうだ。
「帰ろう」
 どちらかともなく言い合った。
 降りる際にエレベーターに乗りたくなかったので階段を使用したという。

 団地の敷地を出て歩きながら、ようやく三木さんは余裕を取り戻した。
「いやぁマジでビビったなぁ」
 そういう三木さんに、友達は申し訳なさそうに、
「実はネットで見たら、この棟が一番ヤバいとこだったんだ……」
 と返したそうだ。
 三木さんは苦笑しながら友人の肩をしたたかに殴りつけたという。


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