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奇奇怪怪  五題

 中田さんはその時暇つぶしにグルメ情報誌を読むともなく眺めていた。
 ぺらぺらとめくる。
 情報が脳に届くまで、理解できるまで三十秒ほどかかった。
 ありえないページ。
 64ページ。
 腹を裂かれ、叫んだまま絶命した犬の写真に、「老舗にしか出せない美味。味蕾を心地よく刺激」とキャッチココピー。
 中田さんは反射的にスマフォで写真を撮り、それから雑誌を閉じた。
 後でネットの反応を伺おうと思った。これは炎上してしかるべき事案だと思った。
 翌日、知人に見せようと雑誌を開いた。

 だが。
 確かにページにあったはずなのに、ない。
 確かに見たはずなのに、ない。
 写真も撮ったはずなのに、ない。

 誰かに教えたくともスマフォに残った写真はページのアップ、すなわち「グルメ情報誌」の一部とわかる情報はなかった。ただ犬の死骸に文章がついているだけの写真だ。
 試しに知人に見せたが、気味悪そうに中田さんを一瞥したという。 
 まるで中田さん自身がその写真を作成したとでも言うように。
「けど本当にあったんです。僕は作ってないんです。そんなことをするわけがない!」

   × × × × × × 

 大谷さんの弟は三日に一度は夢を見る。内容は同じ悪夢だ。姉である大谷さんがバラバラ死体で見つかる夢だという。 去年の夏ごろから始まり、いまだ続いている。

   × × × × × × 

 舛添君が通っていた小学校には、大人が誰も説明してくれない不思議があった。
 中庭の隅に、ぽつんと生徒机が置かれてある。
 雨風に晒され続けているハズなのに、机が汚れているところを舛添君は見たことがなかったという。
 悪戯心で貼ったシールも翌日には剥がされていたそうだ。
「先生たちにも聞いたんだけど、誰も置かれている理由を知りませんでした。もちろん今考えればすっとぼけていたんだろうけど」

   × × × × × × 

 横山は、新宿は歌舞伎町の桜通りにて、ビル屋上の欄干に座る鬼を見たことがあるという。
 真っ赤な顔にツノの生えた鬼がこちらを指さして笑っているのが見えたそうだ。

   × × × × × × 

 石川県出身の人間から聞いた話。
 能登半島の西の一部、蟹漁をする人間には「必要以上に取りすぎるな」という不文律がある。
「蟹がとられすぎると、今度は人がとられる」
 等価交換なのだという。
「一回見たんだわ。ばかみてぇに蟹とってた奴の息子が死んだんだわ。泳いでて。波に呑まれて。んでな、翌年の漁でとった蟹にさ、蟹の背中にさ、その息子とそっくりの模様がでてたんだわ」
 海のそばで生きてんだから海に沿って生きなきゃいけねぇ。
 立原さんは私を覗き込みながら仰った。

   × × × × × × 

 上記の話は、共通点が二つだけある。
 訳がわからない、説明不可能ということ。
 もう一点は話者と私の関係性だ。彼/彼女はでたらめを言わない。私自身が確信している相手という点である。


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コメント
非公開コメント

奇々怪々ってゲームあったね

2015-04-06 10:13 │ from トンコツURL

No title

鬼の話はなぜかホンワカしてしまったw
来年の話でもしてたのかな?

2015-06-01 21:39 │ from 陰謀好きな名無しさんURL Edit

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