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おばあちゃんち

 紀子さんには「のんちゃん、のんちゃん」と可愛がってくれた祖母がいた。
 だが昨年、軽い夏風邪をひいたと笑っていたお婆様はそのまま体調を崩し、瞬く間に帰らぬ人となった
 亡くなる直前までお婆様はしきりに、
<これは私が引き受けるからねぇ>
 と紀子さんに語っていたという。
「お婆ちゃん曰くね、風邪をひく少し前から、時折部屋に、真っ黒なカカシが現れるっていうの」
 その度に紀子さんは「そんなのいないから安心して」と声をかけた。
 紀子さんは呆けの兆候なのかと心配したが、
<いつ逝ってもいいの。もう私は十分に生きたから。アレは私が連れてくから>
 はたして真実なのか幻覚かはわからないが、仏のような笑みを浮かべる祖母にはハッキリとした人間らしさがあった。
 いまわの際まで祖母の瞳には凛とした輝きが残っていた、と紀子さんは仰る。
 例え『真っ黒なカカシ』が本当に家に棲みついていたとしても、例え禍々しいものだったとしても、案ずることは何もない。紀子さんにはそう思えた。

 遺品の整理時、それは勘違いだったと知る。
 紀子さんは山積みの書類からメモを見つけた。それはカレンダーの裏紙を再利用した、捨てることを忘れた落書きのようだった。
 常に丁寧な字で手紙を綴っていた祖母からは考えられない書き殴り。
 慌てて書いたのか所々潰れた字は、読めない箇所もあった。
<私のもとにくるな私はさんざん※※※な※※だ※※(読解不能)>
<あいつのもとへ>
<のんをつれてけ>
<カカシはいやだあ>

「たぶん、お婆ちゃん、熱で錯乱してたんだと思う。それともやっぱり呆けてたのかもしれない。だから、きっと、あんな殴り書きしたんだと思う。意味なんてない、絶対。家に棲みついていた存在なんて信じられないし」
 ただ紀子さんは、いまだ残されている祖母宅を訪ねる気にはどうしてもなれない。
 そして早く取り壊されるよう随時親族に働きかけているのだが、なぜか親族の数人は顔を強張らせ、解体に反対しているという。

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2015-04-18 10:07 │ from マミヤンの漫画