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名刺二枚

 四年ほど前、若本さんは実話怪談コンテストに入選された。
 授賞式での写真を見せて頂いたが、ホテルのセレモニーホールであろう会場は人で溢れていた。
 編集者と挨拶回りをしていると共同通信社の記者より名刺を渡されたという。
 高橋貴史(仮名)とあった。

 彼女は当時、まだ若干二十歳そこそこである。場にも名刺交換にも慣れていない。
 頂戴する名刺と相手の顔を憶えることで精一杯だった。苗字だけは覚えられたが、下の名前までは意識がまわらない。
 授賞式後に名刺を見返すと、「高橋貴史」名義の名刺が二枚、手元にあったという。どちらも共同通信社の、全く同じ名刺だった。
 名刺を渡してきた二人の顔は思い出せる。
 二人とも清潔感のある、歯切れよい勤め人にしか見えなかったという。
「どちらの方が本物の方だったのかなぁ、なんて今でも不思議なんです」
 笑みを浮かべながら、若本さんは首を傾げた。
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2015-07-31 13:21 │ from URL

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