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三面鏡

「『視える』って大変なの。大変だけど不思議な体験なの。何が不思議って、十代の頃にしか見れなかったから」
 一つ前の記事に載せた『アイちゃん』から聞いた話。

「都営住宅から今のアパートに越してきて、最初何が困ったかってね、洗面所なの。
 洗面所には三面鏡があって……扉になってて内側にハブラシとか収納できるやつ。
 そこで毎朝、毎朝、見るの。
 私が歯磨きとかしてると、うつるの。
 真っ黒い男の人が。
 ――ううん、顔はわかんない。
 ただ男の人だとわかるシルエットだけ。
 それでもおしっこ出そうになっちゃうほど怖いの。だって嫌じゃない? 変態の覗きだって超嫌なのに、正体不明の覗きだよ?
 すっごい困る。
 マスカラとか確認してると、ふっと後ろにいるの。そうなったらもう見れない。そのせいで友達から化粧ミス指摘されるし、もうすっごいムカつくの。あの三面鏡めって。……何にもできないけど。
 ともかく視界に入ると、私なるだけ見ないように俯いて洗面所離れていたの。

 けれどあれはいつだったかな。
 いつだったんだろう。
 ある時に真っ黒の人、泣いてるように見えたの。真っ黒の手を真っ黒の顔にあてて、真っ黒な涙を垂らしてるの。
 どうしたんだろうって思ったんだけど、私その時に世界一好きだった人に振られて、もうなんにも元気なかったから、
 私も泣けてきちゃって。止まんなくて――。
 しばらくそのままでいたら、黒いシルエット、消えていったの。
 悲しそうだったの」

 大人になった今、アイちゃんは男のシルエットを全く見ないという。
 例えお化けでも――並んで一緒に泣いた人がいなくなるのって、どこか悲しい、と彼女は言う。


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コメント
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アイちゃん心根が優しいから惹きつけるのかな?
いずれにせよ今は見えないみたいで良かった

2017-02-11 12:39 │ from 名無しURL

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