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女はすぐに「許さない」「許して」と言う

 詩乃さんが語った話。
「旦那が心霊スポット行って帰ってきたの。もう十年くらい前だから……アイツもまだ三十手前だった頃。馬鹿だからそこで立小便か何かしたんだって。で、帰ってきて酒飲んで寝たの。あたしは子供の世話で起きてたけど……。一時間もすると『ぼり……ぼり……ぼり……』って音がするから、なによって思って寝室の部屋を開けたら」
 旦那さんは、身体を丹念に掻き毟っていたという。
 まるで起きているかのように、丁寧に爪を立てて太腿を掻き毟っていた。
 すでに脛は終っていたようで、ところどころから血が滲んでいた。
「慌てて起こすと『夢で女を見た』って。『女が、許さない許さないってひっかく夢を見た』って」
 詩乃さんは怒った。
「子供の世話も放り出して余計なことして、おまけに祟られるとはフザけんなって感じ」
 頭を叩き、いいから寝ろと詩乃さんは怒鳴ったという。
「次の日の朝にね、旦那が言うの。『夢の中で女が哀れみの目で見てた』って。ウケるでしょ。人の旦那に手を出すほど幽霊だって肝据わってないのよ」

 × × × × × ×

 木原さんが出張で山梨県は甲府駅に降り立ったときの話。
 初めて甲府を訪問した彼は仕事がひと段落つき次第、散策を始めたという。
「孤独のグルメってあるじゃん。俺あれ好きだからさ、いい感じの飯屋ないかなって思って」
 駅前から少し歩くと歓楽街があった。いかにも怪しい路地にが続く。こういったところなら『孤独のグルメ的』なご飯屋があると木原さんは考えた。
 夜はキャバクラや風俗店であろう店が並ぶ通りをこせこせと歩く。
 トタン造りの建物に目を奪われた。
(まだこんな古臭いの残ってるんだ)
 以前は何かの商売をやっていたのか、はたまた未だ営業中なのか。字が読めないほど色褪せた看板からは内情が読み取れない。
 ふと視線を路地にうつす。
 地面に正座した女がいた。
 昼でも薄暗い路地裏に、酔客が小便が撒き散らす地面に、顔を覆い隠すぼさぼさの髪の女が正座していた。厚い浴衣か半纏のような着込んでいるが、それだけだった。膝から下は素足だった。
 驚愕すると同時に〈見つめられている〉と木原さんは思った。
 子供がオモチャを欲しがるような強い視線を木原さんは頬に感じたという。
 当然、女を正視できない。視界の片隅に認めつつ足早に通り過ぎ……ようとした。
 ぽと……ぽと……ぽと。
 熟した下記が落ちるような音が路地から響いた。
 思わず視線を送り、木原さんは目を見開いた。
 人外だとはっきり理解できる光景だった。
 着物はいつの間にかはだけ、露になった胸元は生者のものとは思えなかった。朽ちた大木を思わせる土色だった。
 ぽと……ぽと……ぽと。
 はだけた胸から肉が腐り落ちる。
 卵ほどの大きさの肉が落ち、地面を黒く染める。
<もうゆるしてぇ>
 髪の隙間から見えた瞳は懇願するソレだった。木原さんが一瞬目を離した隙に、女の姿は消えていたという。
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2016-12-21 23:19 │ from URL

キョ、キョワイッ( ;´Д`)

2016-12-24 03:26 │ from 名無しURL

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