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隣の部屋が

 川辻さんが学生生活を送っていたアパートは異様に壁が薄かったという。
「煩いんだろうなぁとは思ったけど、家賃安かったから」
 家賃が安ければその分浮いた仕送りを遊びに使えると考えたそうだ。

 彼の部屋がある階は三部屋あり、真ん中が川辻さんのワンルームだった。
 右隣にはバイトに明け暮れる男子学生、左隣は女子大生だったという。
「隣に女子がいるってわかったときはアガったけど、名前もわからないし彼氏もいたんだよね」
 月に一度か二度、彼氏をアパートの部屋に連れ込んでいるようだった。
 川辻さんは薄い壁に耳をつけ、セックス音をたびたび聞いたという。
「まぁ聞くっしょ、年頃の男なら……けど興奮したのなんて最初の二、三回だぜ? あとは惰性だよ。なんつーか聞かなきゃ損みたいなさ、わかるだろ?」
 女の顔は川辻さん曰く『中の下』だったという。
 彼氏の顔は見たことはないが、セックスは比較的激しかったそうだ。

「その日も左隣から話し声するなぁって思って壁に耳つけたんだ。どうも女の声で、友達なんだろうなぁって思った。そんなの聞いてもしょうがないから、出かけようと思ったとき、耳離せなくなったんだ」
 隣の会話は逼迫した様子だった。
「……でしょ? だから早く出た方がいいって」
「でも……×××ってないし、まだ×××くらいだから、なかなか、ね?」
 細く高い声で会話をしているせいで会話はわかりづらい。
 どうも女友達と思われる人物が熱心に促しているようだった。
 一方住人の女は戸惑った声をだすばかり。
 つまらないと思った川辻さんが腰をあげようとすると、奇妙なフレーズが耳に飛び込んできたという。
「……×××?」
「そんなこと言って……×××、×××、なんだよ? 霊道なんだよ?」
「でも……」
「あんたの住んでるこの部屋、あの世の入り口だよ」
「言っておくけど、次は私こないからね。今だってもう厭だ」
「死んじゃうから。とんでもないよ」
 二人は会話を終らせると、バタバタと出て行った。
 そして隣の女は二度と帰ってこなかったという。
「俺さ、霊感とかわかんないけど、以来隣に越してきた奴、みーんなすぐ引っ越していったんだよ。俺? うん、なんか気味悪くてなぁ、二年にあがるときに引越したよ」
 その間の怪異現象の有無を尋ねるとこう答えた。
「そうだなぁ、霊とかは見たことなかったけど……」
 時折、ゴォー……ゴォー、とまるで掃除機に似た音が聞こえたという。
 音量はとても家電とは思えないほどの大音量で、しかし数秒で掻き消えたという。
「たまにアパートの住人が隣に怒鳴りこむんだよ。うるせぇって。けどだいたい人がいなくて、諦めて戻っていったよ」
 神奈川県伊勢原市にあるアパートでの話だという。


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