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アヒルのきゅうきゅう鳴るオモチャ

 近藤さんが深夜、シャワーを浴びている時だった。
 高い音が耳をつく。
 ――キュウキュウキュウキュウ。
 なんだ? 
 近藤さんは慌ててシャンプーを洗い流し、見回す。
 辺りには何も異変がない。
 家の外から聞こえる音?
 酔っ払いか?
 だが音は離れていかず、確かに近くで鳴っている。
 ――キュウキュウキュウキュウ。
 警報音と同様に、聞いていると不愉快でたまらなかった。
 近藤さんはシャワーを諦めて風呂場の外に出た。
「あ」
 思わず声が出たという。
 暗い玄関先、ほんのりと浮かんだ人影。
 物凄い速さでもやもやは形が整い、子供の姿になった。手の中には見慣れたアヒルの音の鳴るオモチャ。飼い犬が散歩中くわえてきたものを、そのまま持ち帰ったものだった。
 小さな姿の男の子が振り返る。
 最初見えなかった半身がグチャグチャに潰れていた。泥に汚れた細い肉塊は今にもちぎれそうだった。
 男の子が無事な方の腕で、アヒルのオモチャを握り締める。
 ――キュウキュウキュウキュウ。
 近藤さんは即座に理解したという。
 持ち帰ってはいけないもの。
 お供え物を持って帰ってしまったと。
 呆然と眺めていると、男の子の姿は消えたという。 
「翌朝、すぐアヒルのおもちゃを持って散歩ルートを辿ったよ」
 しかし一体どこから飼い犬が拾ってきたかわからなかった。
 そこで近藤さんは近所の百円ショップをまわり、同じようなオモチャを買い求めた。
 そして事故現場になりそうなスポット(交差点・横断歩道・見通しの悪い歩道)全てに、オモチャを置いてまわったという。
「まぁ出費っちゃあ出費だけど、なんだか可哀相でなぁ。たぶん……事故死した子供へのたわむけの品だったんだろう」
 それを取り上げてなぁ、ほんと悪かったよ。そう近藤さんは言う。
 怪音は起きなくなったという。
 だが近藤さんは以来、飼い犬の散歩中などで事故が起こりそうな場所にさしかかると、ラムネをばらまいて歩く癖がついたという。
 

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