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タロット占い

 佐伯さんが先月の週末、女友達と飲みに行った時のことだった。
 一軒目で軽くご飯を食べ、二軒目でワインを飲んだ。まだ時間が早かったこともあり、もう一軒行こうと二人は決めたという。
 新宿三丁目から歩きながら佐伯さんは行きたいお店を提案した。
 以前会社の人に連れていってもらったバーで、そこのバーテンダーの作るカクテルは絶品だった。何より好きな俳優に顔が似ており、佐伯さんはもう一度会いたいと思ったのだという。
 だが三ヶ月の間に店名は変わっていた。それでも……と一応入店するも、やはり見たことのないオバサンが一人で切り盛りをしていたという。
 だいぶ歩いていたこともあったので、とりあえずワインを注文した。他に数人いる客は誰もが常連のようだった。
 オバサンが二人の席までお酒を持ってきた時、「初めて?」と聞かれた。
「ええ。以前ここにあったお店には来たことがあったんですけど……」
「そうなの。まぁ移り変わりが激しい街だから」
 バーテンダーの行方について何も知らなさそうだったことが残念だったという。
 店内には『タロット占い二十分三千円』と張り紙がしてあった。
 佐伯さんの友人がどんなのですか? と尋ねるとオバサンはタロットカードを奥から持ってきた。
「ここはね、お酒も飲めるけどタロット占いもできるの。貴女達初めてだから、サービスで一度占ってあげるわよ」
 オバサンの提案に友人は食いついたが、佐伯さんは冷める一方だったという。バーテンダーに会えなかったこともあるし、占い関係は苦手だった。佐伯さんは女性には珍しく血液型占いさえも嫌いだった。
 オバサンがタロットカードを机に広げ、まず友人にカードを引くように言った。
 さらに二枚を引かせてからおばさんは預言者ぶった、かしこまった顔で友人に言った。
「……貴女は今迷いながら進んでいるわね。わかるの。結果なんだけど、それはうまくいかない可能性もあると出てるわね。ただゴールした時、それは大いなる財産になるって示唆もあるから」
(なぁんだ。誰にでも当てはまることじゃない)
 佐伯さんは馬鹿馬鹿しいと思ったそうだ。
(よくでこれでお金を取る気になるものね)
「それじゃあ、次は貴女。山からカードを2枚お引きなさい」
 佐伯さんは適当に、取りやすいところからカードを引いた。
「あぁ。なるほど。じゃあ、もう一枚ひいて」
 アホらしいなぁと思いながら引いた。オバサンは佐伯さんに言った。
「うん、そうね。わかった。貴女ね、もうじき死ぬわ」
「はい?」
「たぶん……、うん、物凄く苦しんで死ぬことになると思う。餓死とか、溺死とか。狂っちゃうかも知れないわねぇ。だから早いとこお世話になった人たちに挨拶した方がいいわよ」
 オバサンは表情を変えなかったという。
 金を払って二人は店を後にした。
「最後にオバサンが『長くてあと一ヶ月くらいだから』って軽く言ってたわ」
 翌週、どうしても気になった佐伯さんが再び店に赴くと、すでに店名は変わっていたという。渋い中年男性がオーナーのカラオケパブになっていた。
「占いなんて信じてないんだけど、ここのところ眠れない」
 佐伯さんはやつれた顔で呟いた。

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2015-07-19 09:51 │ from URL

No title

ちゃんとした占い師にはルールがあって、例え客の死ぬ未来が見えたとしても「死ぬ」とは決して言ってはいけないそうだ。

2015-12-17 15:00 │ from 名無しURL

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