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とあるブロガー

 明美さんはブロガーだった。
 スマートフォンで撮影した流行のスポット、人気の料理を連日ブログにアップしていたという。
 一時期のアクセス数は一日千二百ほどあったそうだ。

 休日、明美さんは昨晩テレビで特集された、都内某所まで地下鉄で出向いた。
 そこは以前花街であり、数々の芸者たちが行き通った町だったという。
 明美さんは散策しながら写真を撮った。
 カフェでお茶しながらスイーツをを撮った。
 神社も撮った。
 着物姿の女性がいればそれも撮った。古びた建物は全部撮った。
「けど変なのは撮ってないはず」
 と明美さんは話す。
 ブログにアップするネタは大量に入手できたそうだ。
 帰宅途中、夕飯がてら雑誌で紹介されていたカレー屋に寄ることを思いついた。
 地下鉄に乗り、スマートフォンを取り出す。
 しかし先ほどまで使用していたというのに、いくら電源ボタンを長押ししても反応しない。
 なにかの拍子で電源が落ちていたとしても通常であればメーカーロゴが浮かび上がり起動するはずだ。
 家を出る間際まで充電していたので電池切れは考えづらい。
(接触でも悪いのかな?)
 明美さんは本を読みながら、片手であちこちボタンを押し続けた。
(写真撮れないじゃない……)
 苛立ちながら待っていると、ぶぶぶ……、と起動を示す振動が始まった。
 あぁこれで写真が撮れる。明美さんはほっとして、読書に戻った。
 しかし異常にバイブ時間が長い。
 視線をうつすと真っ黒の画面に、ぶれて縦にのびた文字が浮かび上がっていた。

 ゆるしないゆるしないゆるしないゆるさないゆるしないゆるしないゆるしないゆるしないゆるしないゆるしないゆるせないゆるしないゆるしないゆるしない

「パッ、パッって切れかけの蛍光灯みたいに点滅してて。電源落とそうにも電池が抜けないタイプだったし隣のオバサンはぎょっとしてるし、どうしていいかわかんなくて泣きそうだった」
 鞄にしまいこみ、次の駅で降りるとそのまま携帯ショップに向かった。
 
「おかしいですねぇ」
 店員がボタンを押すとパッと画面は点いたという。
 それでも明美さんは充電の蓋が外れていることを理由に、強引に修理を頼んだ。
 一週間ほどかかるとの説明だった。
 用意してもらった代替機を手に携帯ショップを出ると、スマートフォンが震えた。
 ボタンを押すと、真っ暗な画面に文字が浮かび上がっていた。

 赦しはしないから

 明美さんは踵を返し、店員にスマートフォンを押しつけると走って逃げたという。
 結局受け取る気になれず、後日解約した。
 ブログは方向転換し、今はスピリチュアル系のブログをやっているそうだ。


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