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新幹線の車窓から

 大島さんが長野への帰省も終え、東京に戻る新幹線の最中だった。

 新幹線で本を読もうとしていた大島さんだったが、三人シートの隣にきたカップルが酒盛りを始めた。
 本を読みだしたものの、隣の嬌声にばたばたと響く振動にうんざりした大島さんは読書を諦めて目を閉じた。
 一時間ほどうたた寝しただろうか、目を開けると高崎を過ぎたあたりだった。
 外には驚くほど灯りが少ない。
 たまコンビニが海に浮かぶ漁船のように輝いていた。
 隣のカップルは肩を並べて寝入っている。
 大島さんがぼんやりと窓の外を眺めていると、鉄塔と同じサイズの巨大な人型がいた。
「蚊柱ってあるじゃないですか。蚊が群れをつくって塊になって飛ぶやつ。ちょうどあんな感じで……」
 わずかに光る一つ一つのなにかが、人の形をつくっていたそうだ。
 それはゆっくりと村を跨いでいた。
 まるで神話のようなワンシーンに、大島さんは息を呑んだ。自然現象の悪戯かもしれないが、神々しい光景だったそうだ。
 新幹線の速度で、それはあっという間に見えなくなった。
 思わず隣のカップルを振り返ると、寝入っていたと思っていた女の子は起きており、大島さん同様に目を見開いていたという。
「み、見た?」
 確実に年下であろう女の子のタメ口にも、その時は気にならず慌てて大島さんは頷いた。
「あれさぁ、鬼だよね、ゼッタイ。だってツノあったもん」
「え?」
「ヤバいよ、変なの見ちゃった……嫌だな、嫌だなぁ……」
 女の子が泣きそうな声を出した直後、彼氏が起きあがり、結局その話はうやむやになったそうだ。

「あれは良いものだったのでしょうか、不吉の前兆だったのでしょうか」
 私はいつものように「わからない」と答えた。


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2013-05-12 14:29 │ from URL

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