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当方の立場。

 怖い話を蒐集していると、怪奇相談所のような存在に思われる。
 しかし私は寺生まれでも霊感があるわけでもない。
 ただ怪奇な現象を蒐集し、窓辺に飾った工芸品のように眺めているだけだ。

「これ見てくれよ」
 中嶋はシャツの第一ボタンを外すと赤い内出血を見せてくれた。
「キスマーク?」
「そう見えるよな。けれど……」
 中嶋はさらに襟元を広げた。
 そこには錠剤ほどの大きさの、色とりどりの内出血があった。
 紅色、薄ピンク、青、紫、黒、濃い緑。
 胸から腹にかけての内出血は、点画の一部分をズームしたかのようだった。
「この間、四谷のお岩稲荷行ってからこうなった。意味わかんねぇ」
「何かした?」
「特に。すげぇつまんねぇ場所だったから立ちションしたくらい」
「それだと思うよ」
「隅の方だぞ」
「お前の家の隅に小便したらどう思う?」
「……そうだな」
「うん」
「どうやって治せばいい?」
 知らないけど……私は前置きをして教えてやった。
「……ごめんなさいって四六時中考えていなよ。それか薔薇の花束でも供えれば?」
 天気の良い日曜お昼の会話だった。
 幸いにして彼の内出血は二週間ほど続いた後に収まった。
 薔薇が高かったからワイルドストロベリーの鉢を置いてきた、だそうだ。

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