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泥酔したあげく……

 上田さんは酒癖が悪い。
 泥酔したあげく学生集団にケンカを売ったり、ナンパとすら呼べない女性への声かけなど日常茶飯事だ。
 二度ほどうんざりした記憶があるので、私は上田さんと飲むときは早々に帰ることに決めている。

 そんな上田さんが毎度同じように前後不覚になるまで新宿ゴールデン街で飲み明かした時のことだ。
 目が覚めるとまだ夜明け前。
 窓から入る明かりを頼りに、沸きあがる尿意を解消しようと手洗いへと起き上がったそうだ。
 ここがどこか、どうしてここにいるのか。
 そんな疑問は『慣れ』のせいかさほど頭にない。
 服は脱いでいなかった。
 手を伸ばしても女のぬくもりはない。
(仲良くなった誰かの家に泊まったか)
 そう判断した上田さんは目を凝らし、トイレの場所を探した。
 人はいなかった。
 裸の女の代わりに、隣には屍体が転がっていた。
「え?」
 スーっと酔いが冷めた。
 屍体の膿み膨れた頭は紫・薄紫、濃い青とグラデーションに染まっていた。
 顔が小刻みに揺れており、上田さんはさらに目を凝らした。
 あるべき顔の材料はなかった。
 あるはずの場所には蛆らが住居を作っていた。蛆と蝿がたぎるように湧いていた。
 強烈な腐臭が今更ながら上田さんの顔にかかる。
 ベッドの上だったが構わず吐いていると、屍体は起き上がった。蛆がぽろぽろと零れた。
「いこかね」
 まるで十数年来の親友かのように、屍体は優しく呟いたという。
 上田さんがふるふると首を振ると、屍体は崩れ落ちそうな腕を伸ばした。
 首を掴まれた瞬間、ひやっとした感触を味わうと同時に上田さんは意識を失った。

「起きたら新宿東口の花壇でした」
 首に手を触れると、土のような皮膚がぼろぼろ落ちたという。それが自分のものか、誰かのものなのかは分からない。
 以来、泥酔するほど飲むときは新宿を避けると上田さんは苦笑する。


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泥酔はやめましょー(((;゜Д゜))

2016-07-21 09:41 │ from 零URL

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