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自販機の当たり

 和田はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の熱心なユーザーだ。
 TwitterからFacebook、mixi(こちらは既に更新していないが)Tumblrなど、合わせて5つものサービスを利用している。
 不思議なものだが、利用していくうちに注目が欲しくなっていったそうだ。
 普段は何気ない写真をアップしていたが、それではリアクションが無いに等しい。
「独り言を延々と呟いているようで、段々とさびしくなる」
 と和田は言う。もっとウケが欲しくなっていった。

 暑くなってきた時期、ある悪戯を思いついたそうだ。
 暇を持て余した日曜日、彼は近所のハードオフに安い日本人形を買いに行った。
 購入したソレは値段が値段だけあって、いかにも『チャチ』な作りだったという。
「もっと怖くなくちゃなぁって思って」
 そのままでは迫力に欠けると判断した和田は一度持ち帰った。
「オペを行ったんだよね」
 人形をカッターで切り刻み、ライターで焦がし、ケチャップを頭から振りかけた。
「もう迫力充分ってなったから……」
 近所のお寺に持っていった。
 和田の思いついた悪戯とは『お参りしに行ったら、呪われた日本人形があった!』というものだった。それを写真に撮り、SNSにアップする。
 きっとTwitterでは拡散され、Facebookではイイネ!を押され、注目されるに違いないと考えたそうだ。
 撮影した写真の出来栄えは、和田自身もぞっとするような出来になったという。
 その日は写真をアップせず、人形はコンビニのゴミ箱に捨てて帰ったそうだ。

 週明け。会社に向かう最中、和田は自販機に寄った。
 ひどく暑い日で、こんな日に例の写真をアップすれば話題になることは間違いないなと和田は考えていたそうだ。
 お金を入れ缶コーヒーを押すと、ボタンは再び点灯した。
 今時「当たり」が出るタイプは珍しいなと思いつつ、しかし喜んでもう一本缶コーヒーを押した。
 ガタ……ゴトン。
 ボタンの点灯はまた光った。
 もちろんジュース一本分の金額しか投入していない。
(これは……自販機が故障したな)
 せっかくだから手で持てる分だけもらっておこう。
 予想外のラッキーに喜びながら和田はコーヒーを全種類選んだ。
 ガタ……ゴト。
 ガタタガタ……ゴトン。
 がたがたがた、ごとんごとんごとん……。
 がたがたがたがたがたがたがた。
(もういいかな)
 和田が引き出し口に手を伸ばすと、指先に細い糸のようなものが触れた。
 髪に似た触感だった。
 視線を落とすと、引き出し口いっぱいに日本人形の顔が詰まっていたという。
 先ほどから落ちていたものは缶コーヒーでないことは明白だった。
 響いていた音は、人形が中で動いている音だったのだ。そう和田は思い至った。
 引き出し口から覗く、何十もの剥きだしになった眼球が、恨めしそうに和田をねめつけていたそうだ。

「それから? 逃げましたよ、当たり前ですけど。会社は休んでお寺に行って……」
 必死で供養を祈ったという。
 問いただしてくる住職に事情も説明できぬまま、写真を撮った場所で日が暮れるまで手を合わせていたそうだ。
 今のところ大きな事故はないそうだが、以来和田は自販機を利用できなくなったという。


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自業自得

2014-06-14 01:27 │ from 名無しURL

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